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僕はどうかしてる。
そこらで聞いた噂を信じるなんて。
あんなのただの言い伝えじゃないか。
頭ではそう分かっていたのに、この場所に来てしまった。
あの日から、ここには二度と来ないと誓ったのに。
ここには君との思い出がありすぎる…。
僕は迦楼羅神社の前に立っていた。
冷たい風が僕の体を包み込む。
もしかしたら僕はもう、この時からすでに狂わされていたのだろうか?
どこからともなく聞こえるあの声に操られていたのかもしれない。
それでも君が信じたいと言うのなら、僕も信じよう。
君の笑顔がまた見られるのなら、覚悟を決めよう。
小鳥のさえずりのように、耳をくすぐる可愛らしい声を再び聞く事が出来るのなら前へ進もう。
僕はまぶたの裏に彼女の姿を浮かべながら、足を前へ踏み出し、鳥居をくぐった。
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