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「俺は単なる散歩だ」と告げると、さっさと階段に向かう。
「待てよ。途中までは一緒なんだから、一緒に行こうぜ」
……こいつ、本気でやる気なのか?
そんな愚問らしい考えが浮かぶと同時に、シルフェは胸ポケットからメモを取り出した。
それをパラパラと捲り、ふと止めた。
止めたページを見ながら、ぶつぶつと何かを呟いている。……聞き耳を立ててみるとしよう。
「……この子にしようか?いや、こっちか?初めてだし、下の階層の方が侵入しやすそうだし、うん、今日はこの子に」
「しゃらぁぁああああっ!」
仕舞おうとするメモをシルフェの指から抜き取り、近くにあったゴミ箱にシュート。
「あああああ?!な、何しやがる!?あれはまだ未完成品で、誰かに売ったりでき――」
「売る予定だったのかよっ!?そもそも何が書いてあった!」
「え?昨日までに調べた、女子入寮者リストだ。顔写真、スリーサイズ、入室した部屋のナンバーだけしか、まだ調べられてないけど」
「十分すぎますよねっ!?しかもそれを売るつもりだったのかよ!」
「やだなぁ。流石にスリーサイズ、体重だけは抜いた情報誌だよ」
「情報誌って、定期的に売り出されそうな言い方するな!」
「こんな朝っぱらから、騒いでるのはどこの馬鹿だ!?」
「「やっべ、逃げるぞ!」」
何だかんだで、息の合う二人だった。
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