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小さな村。村人全員が何かしらの農業に勤しむような、どこにでもありそうな村。
そこで生まれた俺、ソルム・ヴォルティスは、生まれつき他の平民より魔力が多かった。
属性は地。農家にとってこれは嬉しいことだ。
そして俺が生まれてから約十五年。今年で十六になる俺は、親や村人の勧めでとある学園を受験した。
それほど大きいと言うわけではないが、通っている生徒が特別。ほとんどの生徒が貴族なのだ。
貴族とは、もう記録にしか存在しないほど昔にあったらしい、大きな戦争で大功をたてた家に贈られた称号で、その家の子供はえてして魔力が多いらしい。
そんなところに、受験に最低限必要な魔力を持っていたから、と言う理由だけで受験を勧められ、俺もネタになりそうだから引き受けた。
これが、いけなかった。
これが俺の人生を狂わせた。
季節は春。もう明日には大抵の学校の入学式が終わるような時期。
やっぱり落ちたなぁ、と苦笑混じりに鍬を片手に農業に精を出していると、村中に響き渡るような大声が響いた。
「大変だぁぁぁぁああああああ!」
何だ何だ、と家の中にいた子守中の女性や小さな子供も外に出てくる。
男連中は手を止め、何事かと声がした方に集まる。
小さな村とは言え、一人を取り囲むのにそう人数は要らない。
出遅れた俺が声の主が見れないような状況になったのも仕方がないだろう。
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