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「絢子、今日新しい家庭教師の人来るからね?」
「はいよ~」
私は石田絢子。高校三年生。エスカレーターだから受験はなしっ。
下からずっと女子校っていうのと、他校に遊びに行かないから、男子との関わりが一切ない。
こんな状態で17年。恋愛経験なし。
女としてどうよって感じだよね…
そんな私が。
恋って何?美味しいの?な私が。
今日、20:00、恋に落ちた。
************
ピンポーン…
きたっ
新しい家庭教師のお出ましだ!
[こんにちは~…こんばんはか]
優しい声してる…
出迎えた母親と会話しながら歩いてくる初対面の相手に…どんな表情で会えばいいんだっけ!?
そんな変なことを考えながらあたふたしてたら、とうとう発見されちゃった。
「こんにちは」
普通の大学生だった。
けど、私は何故か固まった。挨拶も出来ず、ぼーっと見つめちゃってた。
「絢子!絢子…すみません…このこ男の人に慣れてないんですよ…あらあら、真っ赤になっちゃって…」
母親のフォローと相槌を打つ相手の声をちょっと遠くに聞きながら、なんとか我を取り戻した。
男慣れしてないのは正確だけど…今私が赤いのは…きっと…
「じゃ、よろしくお願いします」
「はーい」
あ…お母さん行かないで…
そんな密かな願いも虚しく、二人っきり。
ゆっくりだけど、緊張からしっとり汗をかいてくるのがわかる。
「どうする?早速やる?お互いのこと、ちょっと知っとく?」
「…どっちでもいいよ(笑)」
わざと明るく返す。じゃなきゃ、私やばい…
「じゃあ…」
っていいながら私の前に置いておいたテキスト類を引っ掻き回す。
今日は方針を決めるらしい。
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