学園天国

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そんなこんなで歩き続け、これから一年間世話になる教室に到着。 とりあえず、出席番号順に生徒全員が机へと収まった。 それを見計らって、先程の女性教師が壇上に上がり、口を開く。 「皆さん入学おめでとうございます。このクラス、1ー2担任、新井真静(アライマシズ)です」 まっさらなチョークを使って黒板に名前を書く新井女史。 振り向き、控え目な笑顔を浮かべる。 フワフワと揺れるセミロングな栗色の髪も相まって、なかなか好印象。 よく観察すると、教師にしては若く見える気がしないでも無い。 御年齢は? とか口走ってみたいが、今後の成績に響きそうなので自粛する。 当然のように自己紹介タイム。 端から順に氏名やら特技やらを饒舌に語っていくという典型的かつ初見時の定例行事。 ここで後ろの席の人が『ただの人間には興味ありません』などと言い出そうものなら僕にはファンタスティックでドラマチックな展開が待っているのだが、特にそんな事はなかった。 そもそも、後ろは男子だ。 男と男の暑苦しい友情物語を演じるつもりは毛頭無いので、早々に諦める。 現実はフィクションほど甘かぁないのだ。 順番が回ってきたので、無難に、「片山進です。趣味は映画鑑賞。以後御見知りおきを」と自己アピールし、席につく。
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