見せかけ探検部

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入学式翌日。 真新しい教科書を鞄に詰め込んで、いざ登校。 うちの高校は私服OKだが、如何せん僕にはコーディネートの素質が無いようなので、高校指定の標準服を着て学校への道のりを歩いていた。 自転車や電車を使うほど、うちと高校は離れていない。 むしろこの通学時間の短さこそ、僕がこの高校を志望した最大の理由である。 朝、数分間の睡眠時間は何物にもかえがたいほど貴重なのだ。 程なくして学校へ到着。 迷うことなく教室に辿り着いた。 室内には生徒がまばらに座っているだけ。 誰と喋るわけでもなく、ただ黙々と持参した文庫本を読んだり、机に突っ伏して寝てたりする人ばかりだ。 友達作りには時期尚早な、様子見の空気が漂いまくっている。 無論、僕も見知らぬ同級生に話し掛ける為の話題を保有しているわけではないので、周りに倣っておとなしく席についた。 しかし、やることがない。 前方にかけられた時計を見れば、まだ1時間目まで15分程度時間がある。
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