幻想郷の春

2/2
3人が本棚に入れています
本棚に追加
/8ページ
桜が咲き花びらが風に舞う 神社の境内を春の温かい風が吹き抜ける   その境内で一人の巫女が境内を掃除していた 楽園の巫女『博麗霊夢』である   「ふぅ、桜は綺麗だけど…掃除が大変ね…」   箒でいくら掃除しても次から次へと花びらが落ちてくる そのうち春風が吹きぬけ集めた花びらは散ってしまう   「ああーもう!」   突如、声を荒げ箒を振りまわしてしまう巫女 どうやらきりがなく嫌になってしまったようである   「休憩よ!これは休憩!!」   誰に言うのでもなく一人で声を荒げながら中へと入ってしまう   …しばらくすると急須と湯呑み、煎餅の入った皿を盆に載せてやってくる 縁側に座り一人お茶をすすり煎餅を齧る   「今日は誰も来ないわね… …まぁ、静でいいんだけど」   普段なら絶妙なタイミングで何かしら声をかけてくるものがいるのだが今日は珍しく誰も来ない   静かな時間が過ぎていく 春風が桜の木を揺らし木々のざわめきを残していく どれくらい呆然としていたのだろうか 霊夢が気がつくと湯呑みのお茶はすっかりぬるくなっていた   しばらく湯飲みの中に視線を落とす そこには自分の顔が写っている   「…ふぅ」   軽く一つため息をつくと湯飲みのお茶を一気に飲み干す   「さってと…今晩は夜桜ね ちゃっちゃと掃除にきりをつけて料理の仕込みをしないとね!」   自分自身を鼓舞し箒を握り締め掃除を再開する すると、複数の人物達が階段を登ってくる気配を感じる   「ようやく来たわね…」   霊夢はそう呟くと階段へと向かう 階段を登ってくるだろう馴染みの者達への元へと…
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!