繊月

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「葉月さん、恋人作らないの?」 合コンを断ると、黒田 陽子は、私にそう言った。 「作らないというか・・・合コンがあまり好きじゃないんで・・・」 海がこちらをチラっと見た時、私は少し救われた気持ちになった。 私が合コンへ行くことも、何もかも気にされなかったら、私は生きてはいけない。 海は以前、私に言った。 『華が恋人が欲しいなら、作っていいからね。俺は華を縛る権利はないから。』 私は、海にガチガチに縛られたいと願っている。 それなのに、この気だるいほど、切ないほどの自由は・・・これが孤独というものなのだろうか。 精神状態が常に不安定なのは、不倫を始めてからずっと続いていた。 それでも、私はそれをやめられないのだ。 仕事は、そこそこ出来る方だ。 昔から、ほどほどにやって来た。 すごく目立つのも嫌だが、バカにされるのも嫌だ。 ほどほどに出来れば、誰にも何も恨まれたり、羨ましがられたりすることはない。 そのせいだろうか、恋愛もいつも、いつの間にか始まって、いつの間にか終わっていた。 人を命を燃やすほど好きになることも、今まではなかった。 海には奥さんがいる。それを思うと毎日、私は苦しくて、切なくて、今までに味わったことのない悲しみが押し寄せてくる。
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