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嘉穂は急いで下駄箱に戻ると靴の砂を払い廊下を生徒達にチラチラと見られながらも堂々と歩いていたそこへ慌てて走って来た智哉が到着する。
「ハァハァ…嘉穂足早すぎやろ!!」
嘉穂は今思い出したらしく慌てて智哉に駆け寄る
「ひ、平田くんごめん! その完全に忘れてた……」
「冗談キツいでぇ~それより急がな授業遅れるで?」
嘉穂は申し訳なさそうな表情をすると思い切って話した
「私今日早退するから! 孝を追っかける! だからせっかく来てくれたんだけどごめん! 教室に急いで本当にごめんなさい」
嘉穂は深々と智哉に頭を下げ謝った。
「そらまたせっしょうなぁ~もー俺も早退する!」
「え?」
「なんやおもろそうな感じやし俺もお供するわ」
「ハハハハ~本当に? 私のただの追跡に付いて来るの?」
「だってほら旅は道連れて言うしやな」
「わかったわかったからこれ以上笑わせ無いでお腹痛いよ」
嘉穂は智哉の洒落がよっぽどツボったのか腹を抱えて笑っていた。
「おぉ? でも無断で帰るのはマズいよな流石に?」
「うん、だから今から職員室行く所だったの」
「ほか、なら時間ズラして行こか」
「そうだね、なら先に平田くん行って来てよ」
「おぉええけどもやな」
「いいけど?」
「平田くんってのはやめてーななんかこうこそばいわ」
「じゃあ智哉くんは?」
「ちゃう!ちゃうねんって、くんがいらんねんてば」
「じゃあ智哉でいい?」
「よっしゃそれや! なら先に行って来るからな~」
そう言うと智哉は軽快な足取りで職員室へと向かった
「失礼しまーす! お、先生いてはったいてはった」
そういいながら智哉は担任のもとへと小走りで向かった。
「平田くん? どうしたのもう授業始まるわよ」
「あの~ですね実は早退したらあきませんか?」
「早退? なにかあったの?」
「実はですね、先生も知ってはる通りわし一人暮らしやないですか、そんで困った事に今週の食費が無いもんで実は今日バイトなんですよね」
「なんで教室でいわ……言えないわよね。わかったわバイト頑張ってね」
「おおきに! ほな行きますね」
智哉は担任に一礼すると急いで職員室を後にした。
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