5人が本棚に入れています
本棚に追加
智哉が職員室を出ると嘉穂が立っていた
「どうだった?」
嘉穂は不安そうに智哉に訪ねる
「おうちょろいもんや、前の学校に比べたら屁でもないわ」
智哉は自慢げにそう言うとにこやかに笑ってみせた。
嘉穂はそれを見て安心した表情を浮かべると次は自分がと言って職員室へと入って行く。
「失礼します」
嘉穂は職員室に入ると深々と一礼すると担任の席へとツカツカとなんの迷いも無く突き進み担任の目の前で立ち止まった
担任は朝からあんな事があったからだろうか嘉穂の方を向くが目を決して合わせようとはしない。
そんな事には構わずに嘉穂は単刀直入に本題を切り出した。
「先生、私今日どうしても済ませないといけない用事が出来てしまったので早退してもよろしいでしょうか?」
「え? あなたもなの? さっき平田くんも早退させてくれって言いに来たばかりなのよ……」
担任は嘉穂に対して少し疑いを持ったような言い方をしたが嘉穂は表情一つ変えずに切り替えした。
「先生、私は今平田くんの話はしてはいません。私が早退して良いか否かを話ているんですが? 時間的に余裕はあまり無いので出来れば即決願いたいのですが?」
嘉穂の凄い勢いに完全に負けてしまった担任はもはや立場は無く力の無い声で返答した。
「わ、解りました……早退を許可します」
「ありがとうございます。では失礼します」
嘉穂はそう言うと担任に一礼し足早に職員室を後にした。
職員室を出ると智哉が嘉穂の荷物を教室から持って来てくれていた。
「ほい荷物。話はまとまったんかいな?」
嘉穂は智哉から自分の荷物を受け取ると頷いた。
「一度お互い自宅に戻って着替えてからまた合流しましょ?」
「そやな、んじゃワイは何処いきゃいいん? ってもわかるって学校か神社ぐらいやけど」
「なら神社で待ってるわ。それじゃ先に行くね! 二人揃って歩くのは色々と面倒だから」
「あいよ~ほなまた後でな」
嘉穂は頷くと早足でその場を離れて行った。
智哉はワザとゆっくりと歩いて家路へと向かう。
最初のコメントを投稿しよう!