遠き日の記憶

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孝と悠子は神社の階段をゆっくりと登っていた。 孝はロードレーサーを担ぎ上げながら登っていた為カッターシャツに汗が滲み出している 「思ったよりも時間くっちまったけど、悠子平気か?」 孝は自分よりも二、三段下を歩く悠子に訪ねた 「平気よ孝のほうが辛そうね」 悠子は少し冗談めかして言ってきた孝は意外な悠子の返答に驚きつつも平気である事をアピールするがごとく階段を駆け上がってみせた 「ほら!! 悠子も走れよ」 悠子は孝の無邪気な行動を見て小さく笑うと一気に階段を駆け上がって神社の境内へと到着した。 「少しはバテた顔ぐらいしろよ~なんか疲れてる俺がバカみたいだろ」 そういいながら孝は担いだロードレーサーを降ろすと近くの木に立てかけて悠子の側へと戻ってきた 「涼しい……夏とは思えないくらい」 涼む悠子の横顔を見つめながら孝は何かを思い出したかのように目を見開く 「アテナ?」 孝の呟きに気付いた悠子は不思議そうな表情を浮かべながら孝に訪ねた 「なに? アテナ?」 「女神……」 「女神アテナの事を言ってるの?」 孝はその問いに無言で頷いた 「アテナっていきなりどうしたの? 私はアテナじゃないわよ」 「ワリィ……」 孝の急な変貌に悠子は正直戸惑いながらも頷くと孝にベンチに座るように言って寄り添いながらベンチへ連れて行くとゆっくりと座らせた。 「まさかとは思うけど別の記憶って」 「あぁ多分神さまってやつかな……」 悠子は唖然と孝を見つめながらも興味が沸々と湧いていた。 「もっと」 「え?」 「もっとその話聞かせて!!」 孝は悠子のテンションの上がりように驚いたがことの一部始終を話始めた。
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