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悠子は立ち上がると鞄を手に持ち孝の方を向き言った
「行きましょうそれに孝が取って食おうとする人間じゃ無いのは知ってるから」
孝は頭を掻きながら照れくさそうに立ち上がると悠子と横並びになりながら歩き出した。
校舎からはまたざわめきが聞こえ始めていた
「なんで毎日毎日あんなにくだらない事で騒げるのかしら……五月蝿い」
孝は悠子のその言葉に少し困惑したが
「さぁなでもあれがまぁ普通っつか日常ってやつなんじゃねぇのかな」
「普通……日常……それなら私は普通じゃ無くていい」
「別に悠子が普通じゃ無いとは言って無いさ、毎日あのベンチでカード眺めて過ごしてたってそれが悠子の普通で日常ってだけだろ?」
「えっと……ありがと」
悠子は自分を否定しない孝の言葉が嬉しかったのか少し照れながらそう言った
「いーって別に礼なんか言わなくて、俺はそう思ったからそう言っただけだからさ」
その時校舎の二階から叫び声が聞こえた
「孝!!絶対にそこ動くなー!!」
孝はその声を聞くと顔をしかめながら悠子に呟いた
「悠子ワリィ!!」
「え?」
悠子が状況を理解する前に孝は悠子の手を握り締めながら全力で走り出した
悠子は転びそうになったがなんとか体制を立て直し一緒走る
二人は全力で駐輪場まで走り孝のロードレーサーにたどり着いた、孝は急いで鍵を外すとロードレーサーに跨り言った
「ほら悠子後ろに乗れよ」
「でも……その自転車じゃ……あっ!」
悠子は孝のロードレーサーに2人乗り出来るように改造がしてある事に気付いた後、孝の後ろに飛び乗った。
孝は悠子が乗った途端に全力でこぎ出し颯爽と校門から出て行こうとした瞬間、背後から悔しそうな叫び声が聞こえてきた。
「くそー!!次は絶対逃がさないからー!!覚えとけ!!」
孝は何も無かったかのようにロードレーサーを走らせ学校を後にした。
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