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雨が降り出した。
傘は持っていない。
今日の雨は冷たくて、火照った身体が冷えていく。
"私"はちゃんと分かってる。
この恋の結末を。
それでも、会うたびに惹かれていく。
強く強く…
「好き」って言葉が胸の中で暴れている。
放たれたがっている。
今度雨が降ったら、自由にさせてあげようか。
先輩は、きれいな顔を少し歪めて困るだろう。
でも、優しく受け止めてくれるだろう。
そう思うと少し気持ちが晴れたんだ。
そう、止まない雨はない。
今、"私"の身体に降る雨も、心に吹き荒れる嵐も、いずれ去っていくだろう。
そして柔らかな光が射すだろう。
一人歩く"私"は、希望と確信に満ちていた。
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