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「ハァ…ハァ」
高校1年の夏休みの夜、私は今ホテル街から遠ざかろうと息を切らして走っている。
夜とはいえ夏だ、全身から汗をかき、体力があり得ない勢いで奪われる。
私は立ち止まり、乾いた喉で無理やり唾をゴクと飲み、現在位置を確認する。
…………見覚えがあるような気もするけど、ハッキリとここがどこだかわかるわけでもない。
さっきのことを思い出し、鳥肌が立つと同時に恐怖でその場にしゃがみこんだ。
私は歯をガチガチと震わせる、いや全身が震えているのかもしれない。
周りの人がどんな目で見ているかなんて気にしてる余裕はない。
目を瞑り、考えないようにすればするほどホテルでの光景が浮かぶ。
嫌だ……怖い、怖いよ……
そんな時、不意に肩を触れられた。
いやっ!
すぐに立ち上がろうとしたが足に力が入らない、恐る恐る肩に触れられている手からゆっくりと顔まで視線を上げた。
「め……女上君…?」
「どうしたんだよ、響」
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