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重たいまぶたを開くと、最初に目に飛び込んできたのは知らない天井だった。
ここ…………どこ?
辺りを見回すと、本棚やノートパソコンの置いてある机、その周りには小学校の頃見たことのある懐かしい教材が並べられている。
物こそ少ないがオシャレな感じのする部屋だ。
そういえば窓の外が明るい………今何時だろう?
上体を起こすと少し目眩がしたが、なんとか大丈夫そうだ。
弾力性のある心地よいベッドから出て、ドアのほうへ向かうと丁度扉が開いた。
「お、もう起きて平気なのか?」
「あれ!?女上君?………どうして……」
「どうしてって……お前そればっかだな」
女上君はそう言うと少し困ったように笑った。
「覚えてない?響、街で急に倒れてさ……そんでウチまで俺が運んできたんだよ」
「倒れたって……」
ああ、思い出した。
確か街で女上君に助けられたんだよね………でもあれ?なんでそんなことになったんだっけ………
「おい!大丈夫か!?まだ寝てろって」
「ううん、大丈夫だから」
「大丈夫って……」
女上君が本気で心配そうな表情で私の顔を覗きこんでくる。
私はあまり心配させまいと、無理やり笑顔をつくり、大丈夫だよ、と言うと女上君は引き下がってくれた。
「それよりさ、ここ女上君の部屋なの?」
なんとなく男の子の部屋って感じがしないけど、私は男の子の部屋を見たことがないのでなんとも言えない。
「いや姉貴の部屋だよ」
「女上君ってお姉さんいたんだぁ」
「ああ、今は仕事行ってていないけどな」
「お仕事はなにしてるの?」
「なんでそんなに知りたがるんだよ…………小学校の先生だよ、まだ新任だけどな」
「そうなんだ」
だから小学校の教材が置いてあるんだ。
ここで私はあることに気づいた。
なんで私、パジャマ着てるんだろう…?
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