姉弟×私=家族?

7/14
前へ
/14ページ
次へ
「良いにお~い」 そう言ってリビングに入ってきたのは眼鏡をかけた、少し温和そうな印象を与える美人さんだった。 「あら?」 「あっ、えっとありがとうございます……色々と」 私が立ち上がりペコリと頭を下げると、女上君のお姉さんは温かく微笑んでくれた。 「もう大丈夫みたいね………えっと、雪路の彼女さん」 その瞬間、女上君が顔を真っ赤にしてガタッと立ち上がった。 「響はただのクラスメートだ!」 「あらあら、そうなの?」 ………私も否定しておかなきゃ女上君に悪いよね。 「あ、あの私ホントにただのクラスメートで…………響彩音って言います」 再び頭を下げるとお姉さんは「ご丁寧にどうも」と言って、軽く会釈をしてくれた。 「私は女上夏樹よ……わかってると思うけど、そこにいる雪路の姉です」 ニコッと笑った時の夏樹さんの笑顔が女上君とよく似ていて、思わず見とれてしまった。 そんな私達の様子を見ていた女上君が「食わねぇと冷めちまうよ」と言い、机をトントン叩いた。 夏樹さんも「そうね」なんて言って、椅子に腰掛けたので、私も慌てて座った。 今度は3人でいただきます、と合掌してハンバーグを食べた。 少しだけ冷めたハンバーグは小さい頃に食べた記憶のある温かいものだった。
/14ページ

最初のコメントを投稿しよう!

16人が本棚に入れています
本棚に追加