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「良いにお~い」
そう言ってリビングに入ってきたのは眼鏡をかけた、少し温和そうな印象を与える美人さんだった。
「あら?」
「あっ、えっとありがとうございます……色々と」
私が立ち上がりペコリと頭を下げると、女上君のお姉さんは温かく微笑んでくれた。
「もう大丈夫みたいね………えっと、雪路の彼女さん」
その瞬間、女上君が顔を真っ赤にしてガタッと立ち上がった。
「響はただのクラスメートだ!」
「あらあら、そうなの?」
………私も否定しておかなきゃ女上君に悪いよね。
「あ、あの私ホントにただのクラスメートで…………響彩音って言います」
再び頭を下げるとお姉さんは「ご丁寧にどうも」と言って、軽く会釈をしてくれた。
「私は女上夏樹よ……わかってると思うけど、そこにいる雪路の姉です」
ニコッと笑った時の夏樹さんの笑顔が女上君とよく似ていて、思わず見とれてしまった。
そんな私達の様子を見ていた女上君が「食わねぇと冷めちまうよ」と言い、机をトントン叩いた。
夏樹さんも「そうね」なんて言って、椅子に腰掛けたので、私も慌てて座った。
今度は3人でいただきます、と合掌してハンバーグを食べた。
少しだけ冷めたハンバーグは小さい頃に食べた記憶のある温かいものだった。
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