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翌日、わかっていたものの寛からは電話はなかった。今日は日曜日。
「明日電話するっていったのに…」
亜紀は1日中部屋にいた。
昼過ぎに起き上がり、洗濯物や掃除を終わらしてもまだ4時だった。
ファッション誌をひっぱりだしてくるが、パラパラめくっているだけだ。
時間をもて余したまま10時間になった。
寛の明日電話するは、週明けの意味だったんだろう。寛は亜紀がそのことをもちろん理解していると思っているのだろうか…。
亜紀もわかっていたが、電話を待っていた。もしかしたら、私のことを気遣ってかけてきてくれるかもしれない、その気になればトイレからでもかけれるだろう。寛にそんな危険を侵してほしかった。
亜紀は頭の中に浮かんでくる休日の家庭の様子を振り払うようにバーボンの瓶に手を伸ばした。
亜紀は普段煙草は吸わないが、寛が置いていった煙草に火をつけた。
ちょっとむせた。
部屋の中に煙と寛の気配がただよい、その中で亜紀は体育座りでバーボンを飲んだ。
今の亜紀は誰から見てもみじめで寂しい女そのものだろう。
亜紀はそう見える自分に満足感さえ抱いていた。
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