†亜紀†

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亜紀は27歳。東京の商社で働き始めて5年になる。お洒落や遊びに夢中にならずに仕事一筋で頑張ってきたおかげで、最近では重要な仕事を任されるようになってきた。もちろん、人間関係にも気を使い、雑用や残業も誰よりもやってきた。そのことには自負している。 週末、亜紀はパソコンを打ち込みながら時計に目をやった。夕方5時45分。あと15分で帰れる。 亜紀は打っている文章を保存してパソコンの電源を落とし、デスクの上の書類をまとめ始めた。 今日だけは残業なんてできない。時計の秒針が進むのをじれったい気持ちで睨み付けた。
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