生徒会長の憂鬱

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翌日、学校に登校した彼は、真っ先に幼なじみの喧嘩友達のところへ行った。この喧嘩友達も、彼と同じ生徒会役員なのである。 「おい、てめぇ!何で会議来なかったんだよ!おかげで俺、30分も待ちぼうけ喰らったんだぞ!」 喧嘩友達は、特に親しい友人二人と談笑していたが、急に自分に発せられた怒鳴り声に驚き、話すのを止めて耳をふさいだ。 「朝からうるせーんだよ。何?会議?そんなのあったのか?」 「たりめーだよばか!あの日誰も来なかったんだぞ!!折角さぁ…俺が…会議室で…待ってたのにさぁ…お前らは…!!」 日頃のストレスやわだかまりが一気に文句となって溢れ出す。いつの間にか、溢れ出ていたのは文句だけではなかった。 「…おい。何でそこでそうなる!」喧嘩友達は焦りを見せはじめた。彼の瞳がうるみ、頬が赤く染まっていたからだ。「たかが会議すっぽかしたぐらいで、そんな…」 「ばか!ばかばかばかばかぁぁ!!」 彼は叫び、喧嘩友達の机をだんと叩いて、風のように走り去った。 その様子を見た、喧嘩友達の友人の一人が、ぽつんと一言、「彼女みたいやな」とつぶやいた。喧嘩友達ともう一人の友人も、顔を見合わせてうなずいた。
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