兄の事

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「兄上」 不意に呼ばれた狂太郎はぎこちない動きで後ろを向いた。 「私は…この剣の腕を無駄にすることしか出来ないのでしょうか?」 狂太郎はしばらく考え、うむと頷きながら言った。 「それなら、1つ方法がある。土佐勤王党という集団を知っているか?お前、そこに入れ。そこでならお前もうまくやっていけるだろう。」 煉次郎はしばらく俯き、考えておく、とだけ言った。 (土佐勤王党…) 面倒事が嫌いな煉次郎であったが、この時だけは本気で考えていた。 (自分の腕が、今までとは違った形で…直接的に人の役に立つ) 煉次郎の決意は既にほぼ決まっていた。
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