夏恋

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「遥!?大丈夫?どうしたの?」 教室に入るとすぐにちーちゃんが来てくれた でもこんなこと誰にも言えない 『もう大丈夫だから。ありがとう』 今はそう言うことしかできないの 「そっか、大野君心配してたよ?」 さっき逃げちゃったからな 謝っとかなきゃ 『わかった・・ありがとう』 少ししてから大野君が教室に入ってきた そして私の席の隣に座った 『ぁ・・あの、大野君、さっきはごめんね?』 すると大野君は 「いいよいいよ!でも本当に大丈夫か? なんかあったら相談しろよ?」 ニコッとして言ってくれた 優しいな 今の私の心にはすーっと溶け込んでいった 学校が終わって帰る準備をしていると 「棚瀬ー、今日一緒に帰ろーぜ」 大野君が声をかけてくれた 『きょ今日はちょっと』 ごめんね。今日は一人で帰りたい気分なの・・・・ 『ちょっ、ちょっと!?』 でも大野君は私の腕をつかみ教室をでる そして何も言わずさっさと歩く 『ねぇ、大野君!?どこ行くの!?』 「いいからいいから!見せたいもんがあるんだ」 見せたいもの?とりあえず黙ってついていった 「ここ、みてみ?」 『えっ?』 指をさす方向をみると 『きれい・・』 自然に言葉がでた 今まで何気なく通りすぎていた河原 夕日の光が水面に反射して水はオレンジ色に染まる そしてところどころキラキラとダイアモンドのように光っている なんで今まで気づかなかったんだろう 「だろ!俺、落ち込んだりするといつもここ来るんだ」 いっつもニコニコしてるけど大野君も落ち込んだりすることあるんだ 『そうなんだ・・・・ありがとう』 大野君はお兄ちゃんとは正反対の人 私を傷つけようとしない 「帰ろっか?」 『うん!』 少しだけ元気がでた 本当にありがとね しばらくして突然前を歩く大野君の足がとまった そして私の方を向いた 『どうしたの?』 少しの沈黙が流れる 「なぁ棚瀬、俺と付き合って」 『えっ?』 突然のことでびっくりした 私は・・・・ 「はは」 すると私の顔をみて大野君が笑い始めた 「ごめんな突然。でも返事はいつでもいいから!俺、待ってるから」 その日は何も言えず無言のまま家路を二人で歩いた ‐遥side終わり‐
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