お正月

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私たちが見つけたのは、 かなり大きな木のうろだった。 そんなに大木ではないのに、 当時の私たちにとっては、 真っ暗で吸い込まれそうな 大きな木のうろだった。 入口のすぐ前には草が生え、 しかも崖になっていたから、 ここの前を通る人は、 崖に落ちないようにするのが 精一杯で、 きっとうろになんか 気づかなかっただろう。 草をそっと避けると、 うろの中から、湿ったような 臭いがして、 奥が微かに見えた。 私たちは手を繋いで うろに入った。
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