お正月

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うろは、案外狭かった。 ただ真っ暗で、 ふたりでしゃがんでいられるだけの ただの穴だった。 それでも私たちは 神秘的な気持ちで いっぱいだった。 『ずっとここにいたいね』 私は言った。 『うん』 梨良も言った。 『メイ幸せだから』 私は言った。 『梨良も』 私たちは クスクス笑いあった。 幸せって言うのが、 カッコよかった。 そんなこと、 言ったことがなかったから。
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