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急に、
木のうろを隠していた草が
バサっと揺れた。
私たちは
息が止まるぐらいびっくりして
思わず手を握りあって
息を殺した。
誰かというかなにかが
木のうろの前を
横切ったらしかった。
息を殺していると、
ふたたび草が動いて、
すぐ近くで恭平の声がした。
雄也くんの声もした。
私たちは一層息を殺して
うろの奥の壁にぴったり張り付いて
恭平たちが居なくなるのを待った。
いま思えば、
見つかったらいけない訳じゃないのに、
私たちは、
見つかったら終わりのように
思っていた。
恐くて恐くて、
ずっとドキドキしていた。
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