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『長生きできるようにだろ』
雅也が代わりに言った。
『そうだ。蕎麦のように
長く生きようってことだ』
園長が教えてくれた。
『ん…』
いままで、蕎麦の丼に
顔を突っ込んでいた恭平が
急に顔をあげた。
『べつに、長く
生きなくたって
いいよね…』
みんな自分を見ていることに
びっくりした恭平は
小さい声で言った。
『短くても、
楽しい方がいい』
恭平の言いたいことは
よくわかった。
でも、その時は、
悲しくなるから、
言わないで欲しかった。
いま幸せだ。
昼間、秘密基地で、
わざわざそう口に出したのは、
どこかに寂しさが
あったからかもしれない。
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