お正月

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私は、 知らないうちに、 家のお正月を 思い出していた。 家には、毎年 お節料理もなければ 鏡餅も、門松もなかった。 私たちは、お正月になると必ず、 パパ方の祖父母の家に泊まりに行った。 おばあちゃんおじいちゃんは、 すごく優しかった。 欲しい物はないか、 何が好きか、 いつも私に聞いてきて、 私は欲しい物を言わない子だったのに、 おばあちゃんは私が欲しい物を なぜかちゃんと買ってくれた。 おばあちゃんおじいちゃんの家に 行かないお正月なんて 私の思い出の中には、 それまで一度もなかった。 今年は、ママとパパと 兄ちゃんだけで おばあちゃんおじいちゃんの家に 言ってるのかな… そう考えると、 途端に私は寂しくなった。
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