お正月

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きんちゃんは、 私が怒りながら泣いても、 黙って、ちょっと揺れながら、 私を抱っこしていてくれた。 そして窓の側に行って、 窓をほんの少し開けた。 『メイ、雪が降ってるよ』 さっきまでは降っていなかった雪が ほんのちょっと舞っていた。 私は返事をしないまま、 きんちゃんの腕から手を伸ばして、 窓枠に積もった雪を集めて 雪だるまをひとつ作った。 いまにも溶けてつぶれそうな 目も鼻もない、 てのひらサイズの 歪んだ雪だるまだった。 作り終えたころ 私は泣き止んでいた。 きんちゃんに対する怒りも もうなかった。 胸がすかすかするような 寂しさだけが 残っていた。
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