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『めっちゃ遅かったな
なにしてたんだよ』
ケン兄が言ったけど
私は答えなかった。
きんちゃんも
答えなかった。
ケン兄も、それ以上は
聞かなかった。
テレビからは、
ぼんやり紅白が流れていて、
足元では、
恭平と梨良が
眠りこけていた。
『歯磨き!!!』
きんちゃんが大声を出して
二人を起こし、
嫌がる二人を
洗面所に連れていった。
『メイ、みかん食べるか』
私が何となく
テレビの前に座っていると、
雄也くんが私に
みかんを見せてきた。
『いま歯磨きした』
『俺だって歯磨きしたよ』
雄也くんは
楽しそうに、
私にみかんを投げてきた。
私はみかんを受け取って食べた。
冷たいみかんが、
歯磨きした口に凍みた。
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