お正月

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『もうすぐ12時になるぞ』 ケン兄がつぶやいた。 部屋には、 恭平も梨良も 戻ってきて、 紅白歌合戦は どっちかが買って 蛍の光の合唱だった。 きんちゃんも、 園長も ちゃんと部屋に 戻って来ていた。 『来年になったらすぐ、 香織先生が良くなって 戻って来るといいな』 梨良が言った。 私が来てすぐ、 キャンプから居なくなった 香織先生が、 なにかの病気だったからってことを 私はそのとき はじめて知った。 『奈緒は 楽しい正月 過ごしてるかな』 砂月姉ちゃんが言った。 『おまえもスグ 会えるといいな』 雅也が和馬に言った。 和馬は声こそださなかったが、 小さく頷いた。
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