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「学校でなんかあったのかメイ」
しばらく学校に行かなかったら、きんちゃんは私の前に屈んで聞いた。
私は首を振った。
きんちゃんはそれでも私の顔をじっとのぞき込んでいた。
「メイ?思ったことは口に出さなきゃわからないんだぞ」
私は言いたかった。
ペーターに引き止められたこと。
帰ると言っても母が喜んでくれなかったこと。
母の言葉を聞いてしまったこと。
母が私を連れて帰らないと言ったこと。
きんちゃんが母に怒鳴ったのを聞いたこと。
きんちゃんが私に謝ったこと。…
私は泣き出した。
「別に泣かなくてもいい」
きんちゃんはびっくりしたみたいに私のことを抱き寄せた。
「先生は怒ってる訳じゃないんだぞ」
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