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今はもう苦しくてどうしようもない。
この関係に、この気持ちに逃げ場はなく閉鎖的で、自分の中で暴れまわっている。
そんな気持ちを抑えるかのように任務に没頭し、なるべくお嬢様に会わないようにしている。
会わないようにというのは語弊があるかもしれないが、お嬢様が夜中に俺がベッドに運んでいることは知らない。
それでいいんだ。
好きという気持ちで狂いそうで、殺してくれと願う気持ちはお嬢様には届かない。
再びベッドに近づき俺は彼女の腕をとった。
「このまま絞めてくれたら…俺は楽になるんだろうか」
彼女の手を自分の首にあてその手に自分の手を重ねて軽く絞めるように力を加える。
このまま絞まれば、俺は苦しいだろうか…
逃げ場のない感情で苦しめられるのとどっちが苦しいだろうな
「まだ、殺さないわよ。」
静かな声音で彼女はそういった。
「あなたはもう十分幸せなの?」
こんなに苦しいのに幸せな訳ないだろ。
だから殺してほしいんだ。
俺には窓からの月明かりで彼女の寂しそうな表情が見えた。
だけど彼女からは逆光で俺の今にも泣き出しそうな悲痛な表情は読み取れないだろう。
少しだけよかったと思った。
しかし、いつから起きていたのだろか、全然気が付かなかった。
俺たちはまだ彼女の手が俺の首にかかっている状態で止まっている。
彼女がいきなりその手を引き寄せる。
首をつかまれていた俺はそのまま彼女の上に倒れ込んでしまう。
彼女はそのままやさしく抱きしめてきた。
「お、お嬢様!?」
「あなたが死んだら、私は幸せになれないじゃない…」
そう言って抱きしめる腕に力がこもる。
まるで恥ずかしがる顔を見せまいとするように。
これは…いったい
「でも…こんな夜中にレディの部屋に忍び込んであまつ体を触るだなんて、最低ね。」
「…え?」
「今、殺してあげる!」
くるっと体勢を入れ替えて彼女は馬乗りの状態で俺にまたがり、再び手で首をつかまれる。
さっきと違うことは、今度はその手にギュっと力がこもっていることだ。
油断していたのでしっかりとそれが決まる。
ちょっとまじで危ない。
ろくに抵抗もできずに絞まっていく首
なんか、あっけないな俺…
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