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白石が予定のポイントに入った。
途端に一台のボロいセダンが、恐ろしい勢いで歩道に乗り上げる。
タイヤを鳴らしてふらつくが、スピードは落ちない。
まるで暴れ馬のようだった。
白石は呆気に取られ、身動き一つできなかった。
そのままセダンは白石をはね上げた。
スチールの松葉杖が一本、フロントガラスを破る。
そしてもう一本は宙を舞った。
やった!
そう思った瞬間、はねられたはずの白石が地面に着地した。
……着地?
白石は二本足でしっかりと立っている。
そんなバカな!?
まさか……杖は演技だったと言うのか!
目をこらそうとした私の前に、スピードの落ちていない車が立ちはだかった。
運転手は松葉杖の一撃で気を失っているようだった。
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