エピローグ

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入院した香澄の病室に麗子は居た。 五十嵐家の人間が付人の見舞いに直接来ることは、前例がない。 この歳になって初めて、麗子は命の大切さを学んだのである。 守られて生きてきたが故の事だった。 香澄は意外にも、事故程に悲惨な結果にはならなかった。 車と身体の間に、外出時のみ付ける義手が差し込まれてあり、クッションの役割を果たしたのである。 半身不随はおろか、内臓に傷すらつかなかった。 「すみません……。私の力が及ばず……。麗子様にわざわざお越し頂くなんて……」 「いいのよ。あなたは私の命の恩人。当然でしょ」 無理にかしこまって身体を起こそうとする香澄を、涙目の麗子がなだめた。
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