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「先生、静かにしてください!」
俺の席の後ろから凛とした声が教室に響いた。後ろを振り返ると冷ややかに睨みつける女生徒がいた。
「レネス、この問題児を庇うのですか?」
レネスと呼ばれた女生徒は視線を俺から先生にそのまま移し呆れるように言った。
「私は授業中に説教をするのは頂けないと思います。それに大声で授業中に怒鳴り散らされると、勉強に集中できません」
さすが優等生、勉強熱心だなぁ。俺は感嘆を込めて彼女を見る。
彼女はレネス・リーシャ。このクラスの委員長であり、レーベン学院の生徒会書記だけあって真面目である。
金色の長い髪にやや吊り目がちな藍色の瞳。黒を基調としたレーベン学院の制服と、相対しつつも調和している白い肌。清楚だが厳しそうな感じがある。
「じろじろ見ないでくれる」
怒気の含まれた声で言われ視線を外す。
「レネス、お前の意見はわかった。アイル、放課後レネスと一緒に職員室に来るように」
「ちょっと、なんで私がこれと一緒に行かなければならないの!?」
物扱いは酷いなぁ…。的外れなことを思いながら目をつぶる。
「反論は認めん。いいから来るように」
先生の足音が俺から遠ざかり、授業が再開される。後ろでため息と鋭い視線が背中に刺さるが気にしない。
瞼の裏に太陽とプロミネンスが……。あ、太陽が爆発した……。
太陽が爆発して隕石が空から降ってくる。空は燃えているかのように赤い。
俺は慌てて隕石を避けるが雨のように降り注ぐ隕石に絶望した。
「こうなったら最強の魔法を使うしか…。鉄壁の黒き闇の盾よ、我に降りし災厄を……
魔法のイメージを呪文に置き換え確立させていく。
この世界の魔法とは、自分のイメージした魔法を具現化させ発動する。呪文はイメージを鮮明にそして確立するために必要になっている。初級の魔法はイメージしやすいため呪文は必要ないが、強力な魔法はイメージが難しいため過去に創られた呪文を使用していることが多い。
…全ての危害を打ち払え、Escutcheon of black protection(黒き守護の盾)」
視界にイメージした通りの薄暗い分厚い盾ができた。
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