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朝日がカーテンの隙間から入ってきており、かなり眩しい。このせいで目が覚めたのだろう。
ベッドで寝ていた少年はむくりと起き上がると、強張ってしまった身体をゆっくりと伸ばした。関節がわずかにポキポキと鳴っている。
ひとつ欠伸をすると、わずかにしか開いていなかったカーテンを、完全に開く。
「…ふわぁ………眠い…」
カーテンが完全に開かれ、室内に朝日が差し込める。ろうそくに火をともさなくても、室内が一気に明るくなった。
それを寝ぼけ気味の頭の片隅で確認しながらも、ゆっくりとした動作で床に足をついて、立ち上がった。
「……ん~…………」
軽く目を擦るが、なかなか眠気が消えなかった。
少年はまたまたゆっくりとした動作で、着ていたパジャマから私服に着替えた。
ちなみに脱いだパジャマは、きちんとたたんである。
「……下いこ………」
部屋から出ると、すぐ側に下へと降りる階段があった。日当たりは悪いところなので、かなり暗い。
そんな階段を、少年は慣れた様子で降りていく。寝ぼけているにも関わらず、一回も階段を踏み外さなかった。
階段を降りると、すぐ目の前のリビングから食事の香りが漂ってきた。その奥からは調理中の音が聴こえてくる。
少年がリビングに入ろうとすると、奥からひょっこりと女性が姿を現した。
見た目、二十代ぐらいの若い女性で、栗色のウェーブがかかった髪と、緑の瞳をしていた。体格はかなり細く、背は高かった。
その女性が、少年に向かって
「ユウキ!もうすぐご飯だから、顔を洗ってきなさい!」
「……はぁーい…………」
女性が言ったことに、ユウキと呼ばれた少年は従った。
先程の女性は、どうやらユウキの母親らしい。
「……ん~…洗面所……」
眠い目を擦りながら、ユウキはゆっくりと洗面所に向かった。今の彼の歩くスピードは、亀と同じくらい遅いだろう。
かなりの時間をかけて、ようやく洗面所に到着したユウキは、洗面台で顔を洗おうとした。
しかしユウキはまだ背が低いため、蛇口に手が届かなかった。洗面台の高さは、ユウキにとってはかなりあるのだ。
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