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「後はお母さんがやっておくから、ユウキは外で遊んできなさい」
「分かった。行ってきまーす!」
ユウキはすぐに外に出た。空は快晴、遊ぶには持ってこいの天気。
しかし、こんなときに限って友達は全員予定が入っていた。一人で遊ぶのは、端から見ていてかなり痛々しいだろう。
仕方なくその辺を散歩していると、かなり広大な森を発見した。ユウキの住んでいる村の、約三分の一を占めている森だ。
ユウキが住んでいる村の名は、ループ村。人口はたった数十人、民家と民家の間がかなり離れている。
住んでいる自分でも、明らかに田舎だと分かる。それでもユウキは、この村が大好きなのだ。
普段は森の中には入らないのだが、今日は遊び相手もいなく、好奇心で入っていくことにした。
「いいよね、ちょっとくらい……」
その選択が、ユウキと、とある少女の出会いの、引き金となったのだ。
森の中はかなり暗く、夕暮れのときぐらいの暗さだった。上を見上げてみても、空がわずかにしか見えない。
「なんだか………怖いかも…」
普段はあまり怖がりではないが、あることが絡んでくるとかなりの怖がりに変貌する。
そのあることとは……………「……お、お化けが出ませんように……!」
お化けや幽霊等のことだった。
なぜかユウキは、そういった類いのものをひどく怖がるのだ。ひどいときは、泣き出してパニックになることも……
そのため、薄暗い森の中はユウキの精神力を相当削っているのだった。
ユウキが森に入ってから、約十分……
突然目の前の視界が開けた。太陽の光が、暗さに慣れたユウキの目を刺激する。
さかんに瞬きをして、やっと目が光に慣れてきたとき、ユウキは我が目を疑った。
「……病…院!?」
ユウキの目の前には、まさに病院が佇んでいた。かなり古いらしく、所々の塗装が剥がれて、あちこちに汚れが目立っている。
目の前の病院が気になったユウキは、慎重に病院に近づいていった。どうやら病院は森の中心に建てられているらしく、病院の周りはぐるりと森で囲まれていた。
近づいてみると、病院は少し小さかった。
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