歩く

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春、桜が満開の季節。 寄宿舎にも爽やかな風が舞い込みいつもより少し特別な感覚を味わえる。 そんな年に一度のこの季節が好きでたまらなかった。誰よりも自分は春が好きなんじゃないかとさえ幸姫(ユキ)は思っていた。 「ゆーきーちゃん!」 「何?椿さん」 この寄宿舎に住み始めて二年、その間に出来た友達の椿(ツバキ)、明るく甘えたがりだがそんな自分を頼ってくれる椿が邪魔だと思えずむしろ可愛いと思う。 自分にもあんなに甘える事が出来ればと思う、感心の念すら抱く。 「あのね、瑠璃たんが呼んでたよ~、一緒に稽古行こうって!」 瑠璃(ルリ)とは、椿と同様寄宿舎で出会った友人で男勝りな性格のしっかり者で幸姫も何かと頼りにしている存在。 「もう行くの?」 「うん、なんか飛び術が上手くいかないから練習したいんだって」 「あぁ…瑠璃さん苦手だもんね……。」 「うん、幸姫ちゃん飛び術得意でしょ?だから教えて欲しいんだって。」 「わかった、すぐ行くね……」
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