Happy Halloween?

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 今日は10月31日、ハロウィンの日。天槻家は、何処かにお菓子を貰いに行く訳ではないが、せっかくだから仮装をしてみようという話になった。 「なぁ、誰が何をやるんだ?自分で決めていいもんなのか?」 「何だ、決まらないなら俺達が決めてやろうか?」  郁弥が用意された仮装用の衣装を1つ1つ見ながら疑問を口にすれば、小道具などを準備していた父親の旋弥が決めてやろうかと問い掛けた。その後ろから柚旱の髪を結っていた母親の美麗もそれに賛同するように声を掛ける。 「そうねぇ、私達の方が貴方達を理解してるでしょうし、それも良いかも」  柚旱は元からそのつもりだったらしく反論どころか楽しみにしているが、優弥と里桜は些か不安を感じてしまったのか顔を見合わせたもののそれを口にする事はせず、取り敢えず了承した。しかし、郁弥だけはそう素直に了承をする事が出来なかったらしく断る事を諦めた。  だが、そんな事はお構いなしといった風に両親は既に1人ずつ見立てを相談していて、それを見た郁弥は断る事が出来ないという事を悟った。 「ねぇ、まず柚旱は可愛らしく子猫ちゃんにしたいと思ってるんだけど……どうかしら?」 「猫?私、猫やりたぁい!!でね、でね……黒猫がいいの!!」  美麗が柚旱を見てやらせたい仮装を提案すると、子猫自体に反応した訳ではなく可愛らしいという言葉に敏感に反応し、即座に頷いては黒猫が良いのだと言う。それを聞いた旋弥が沢山の衣装の中から美麗と柚旱が話した衣装を取り出しては着替えてくるようにと柚旱に手渡す。  柚旱が着替えに居なくなったのを確認すれば、美麗の次のターゲットは郁弥と優弥に変わる。しかしながら、最初はお揃いにしようかなどと考えていた為にすぐに浮かばなかったが、それぞれの個性に合わせるのならば別々が良いだろうと考えては、1人1人に提案をする。 「郁弥は……そうね、吸血鬼なんてどうかしら?ぴったりだと思うんだけど。後、優弥は……ミイラ男がいいわ!」 「俺はそれなら異存ねぇが……」  郁弥は特に意外性のあるものでもなく、比較的やりたかったものを提案された為に少し考えた後に了承するが、その隣では表情を曇らせた優弥がいて、だからといって拒否も出来なかったらしく了承すれば、再び旋弥が探し出した衣装を受け取り、それぞれの部屋へと入っていった。
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