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「これ『K.I』って入ってる!!」
K.Iのイニシャル?
「じゃあさ、やっぱり五十嵐じゃね?アイツの名前『康太』だし!」
「なんだ~、意外性がないな~。」
「五十嵐~!お前がチョコあげたのか~?」
「ち、違うよ!オレは亘さんにしか・・・!」
「誰だよ『亘さん』って~?」
友達は五十嵐をいじりだした。
「悪い!俺、ちょっと行くところが!」
俺はその小包を持って教室を飛び出した。
走って向かった先は第2音楽室。
今はもう使われていない空き教室だ。
あるのは壊れた机と椅子と、古いピアノだけ。
その中でいつもピアノを弾いているヤツがいる。
「井上!」
ピアノの音が止まった。
「な、直樹くん・・・!?」
井上克実。隣のクラスのヤツだ。
入学した日から「ホワイトリリー」のあだ名がついた美少年だ。
ノンケでも克実に惚れるヤツは少なくない。
「井上、ちょっといいか?」
「な、何かな・・・・?」
「あのさ、下駄箱にチョコ入れたのって・・・・」
「えっ、あっ!!あのっ!!その・・・・!」
おい、明らかに挙動不審じゃないか。
すると井上は声を震わせながら言った。
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