バレンタイン企画「scherzando?」

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「ほ、ほら・・・」 そう言って俺は下駄箱に入っていたチョコを井上に渡した。 「それ、僕の・・・・?」 「俺、下駄箱に置いてあったのなんて嫌だから。」 「えっ・・・・?」 「それとさ、これ。」 俺はポケットから出し、井上に差し出した。 「これ・・・・ホワイトチョコ?」 「俺のデザートだけどな。」 「ぼ、僕にくれるの・・・・?」 「そ、そうだよ!恥ずかしいから早く受け取れよ!!」 「あ、ご、ゴメン!」 井上は俺の手から慌ててホワイトチョコを受け取った。 「あ・・・じゃあ、これ・・・・・」 井上は恥ずかしそうに俺が渡した小包を差し出した。 「下駄箱じゃダメって、手渡しならいいのかな・・・・?」 井上の目に涙がいっぱいに溜まっていて、今にも流れ出しそうだ。 「お、おう・・・・」 「よかった・・・・・それとさ、さっきの返事、聞かせてくれる?」 「井上ってさ、意外と天然な。」 「えっ?」 俺はデザートなんていつも持ってない。 それは今日の朝、コンビニで買ったんだよ。 普通の高校生活を捨ててでもお前に渡す為にさ。
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