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そこには東風がいた。
しかも、後ろに僕がいる事に気がつかないのか、スカートのしわを伸ばした拍子にスカートが少し捲れパンツが見えてしまった。
「っ!!!!!」
しかし、僕にとってその永遠とも言える幸福の時間は現実世界ではそう長くは続かなかった。
上の階から人がかなりのスピードで降りてきて東風にぶつかったのだ。
「危ない!」
僕は叫んだ。
「きゃあ!!」
東風の両足が階段から離れ、彼女の身体は宙を舞った。
僕は咄嗟に彼女の落下地点を予測し飛び込んだ。
そして、彼女を抱き締めた。
彼女の髪の香り。
彼女の柔らかい肌。
彼女の華奢な身体。
僕は強く強く抱き締めた。
ドンッ!!
彼女を抱き締めたまま僕は階段の踊場に背中から叩きつけられた。
「ぐはっ!!」
頭と背中を強打したらしい。だが痛みに薄れゆく意識の中で、僕は彼女の無事を確認した。
…どうやら無事のようだ。
「フッ…」
その時何故だか僕は笑ってしまった。
彼女の流れる様な髪に触れる。
そして、何も分からなくなった。
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