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「そうヘコむなよ。」
「ぢぃぐじょ~…」
新城はあれから立て続けに振り込んでしまいかなり悔しがっていた。
「んっ、そろそろ食えるぞ。」
完全に鍋奉行化している斎藤が鍋を見て言った。
「マジでっ!!」
新城がその言葉に目を爛々と輝かせ食いついた。
「新城…お前は立ち直りはえーな。」
今晩の料理はすき焼き。4人で食べるにはオーバーな位、肉が用意され、あの低予算でどうしてこんなに肉があるのか不安になるほどだった。
しかし、新城はそんなこと全く思わないらしい。
「いただきっ!!」
鍋から肉をかっさらう。
「あっ!!お前自分の箸で取んな!つーか肉取りすぎ!」
鍋奉行の斎藤が注意するが、腹ぺこの新城にそんなのは馬に念仏だった。
「許せ…斎藤…お肉は貰う。」
新城は箸を振り上げた。
「肉取神拳の奥義を見よ!!」
「肉取百裂拳っ!!」
一秒間でゆうに肉2枚は食べているであろう物凄いペースで、鍋からすき焼きの垂れへ、すき焼きの垂れから新城の口の中へ途切れること無く肉が移動する。鍋から肉が無くなっていく。
僕もこのペースなら新城一人で肉を完食するのではないかと、いささか不安になり、本当の戦いの前に『第一次鍋戦争』に参戦した。
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