その名は青と申す

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憎しみがどんなに愚かしい感情か、百も承知している。 不意に冠世と清輝の姿が脳裏に浮かんだ。胸が締めつけられすぐ振り払う。 「俺も妖は許せない」 声音には微かな怒りが含まれていた。神妙な面持ちで蝶彩の頭に手を置く。 「有り難う。青」 不思議な気持ちになり、気づけばお礼を述べていた。 「感謝される覚えはない。急にしおらしくなるなよ。気持ち悪……」 少女は眉をしかめて勢いよく脛を蹴った。 「礼は撤回だ」 「いっ、たい。痛いだろ!」 涙目になっている青を無視してくるりと背を向けた。 今宵は妖退治。人に害を成すものは私が消し去る。 蝶彩の双眸には底光りする鋭い光が宿っていた。
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