再び

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避ける間もなく、蝶彩は首を掴まれた。そのまま地面へ叩きつけられる。 幻術の雪は本物と同じように冷たい。冷たさが痛く感ずる程だ。 首を締めつける力は強く苦しさに喘ぐ。白妙に馬乗りされ身動きがしにくくなった。 どうにか思考を働かせ、頭で突破口を考えて妖力を指に込める。蝶彩は額を叩き声を絞り出す。 「飛(ひ)」 白妙の体がくの字に曲がり後方へ吹っ飛んだ。 圧迫され潰れていた気管に空気が入り咳き込む。 吹っ飛ばされた白妙は既に上体を起こし、ゆらりと立ち上がっていた。 ただ一人の目標を捉えて疾走する。手を振り上げた。 すると、忽ち鋭い氷柱が出現した。 手を振り下ろす動作を合図として沢山の氷柱が蝶彩に降り注ぐ。 足場の悪さを感じさせぬ素早い動きで、身を捻って片手を突く。後ろへ避けた。 氷柱が数々の音を立て雪の地に突き刺さる。 限界がある体力ではいつまでも避けていられない。蝶彩は奥歯を噛み締める。 「白妙、やめろ」 言葉は届かず虚しく消えた。 「血、血……」 飢えを癒す為、執拗に血を求める白妙は氷柱を放ち続けた。攻撃を避けるか、結界で弾いて身を守る事しかできなかった。 懐に手を伸ばし、少女は気づく。呪符が底をつき始めていた。限られた数枚だけ残っている。
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