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「ちょっと滲みますよ」 「っ……」 傷口に吹きかけた消毒液が滲みたのだろう 痛みに少し顔を歪ませた馨さん 手早く絆創膏を貼ってあげた 「ありがとう、悠李くん」 「いいえ、どういたしまして。でも珍しいですね?カップを落とすなんて」 「あ、ちょっと考え事してて……」 そう答える馨さんの表情は晴れない いったい何を考えていたのか 「考え事ですか……何か悩みでも?」 「悩みなんてないわ。新作のケーキのレシピを考えていたのよ」 この時の馨さんの笑顔は、お昼に見せた まるで温度が感じられない そんな笑顔に戻っていた
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