101人が本棚に入れています
本棚に追加
「ちょっと滲みますよ」
「っ……」
傷口に吹きかけた消毒液が滲みたのだろう
痛みに少し顔を歪ませた馨さん
手早く絆創膏を貼ってあげた
「ありがとう、悠李くん」
「いいえ、どういたしまして。でも珍しいですね?カップを落とすなんて」
「あ、ちょっと考え事してて……」
そう答える馨さんの表情は晴れない
いったい何を考えていたのか
「考え事ですか……何か悩みでも?」
「悩みなんてないわ。新作のケーキのレシピを考えていたのよ」
この時の馨さんの笑顔は、お昼に見せた
まるで温度が感じられない
そんな笑顔に戻っていた
最初のコメントを投稿しよう!