序章

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友喜は二度目のため息をついた。 「あのなぁ、バレンタインのあとって引退近いから部活やるだろ?それに夏休みしか長期の休みはないんだぜ?この休みをお前は何に使うんだよ。」 「えーっと、まず部活がんば」 「それは去年やった。」 「じゃあ…勉強でもし」 「それは来年ね。」 「じゃあ……うーん。」 二つの案を否定されて友広は考えた。部活と勉強ダメだったら他にないじゃん。しばらく返事がないのを見て友喜は三度目のため息をついた。 「お前さぁ、遊びたいとか思わないの?」 「いや、思うけど。ちゃんと遊んでるじゃん。」 「女の子と2人っきりで遊びたいとか思わない?」 「思うけど…彼女いないし。」 「だから作るんだよ!」 ここで友喜は机を叩いた。その反動で机の上にあった弁当箱が動いて床に落ちた。それを拾いながら友喜は続けた。 「この夏休みだけじゃない。これから先の高校生活で彼女がいたら楽しいだろ。それにもう折り返し地点まできてるんだ。そろそろギアいれてかないと。」 「そっか、この暑さにやられたんだね。保健室まで一緒に行こう。」 「ちがわい!」 今度は友広がため息をついた。 「じゃあ頑張りなよ。僕は陰で応援してるから。」 「はっ?何言ってんの?お前もやるんだよ。」 「えっ?」 友喜はにっこり笑ってもう一度言った。 「お前も彼女つくるんだよ。」
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