5人が本棚に入れています
本棚に追加
友喜は汗をかいていた。もちろん、暑さのせいもある。しかしそれだけでなく友広に向かって興奮しながら話しかけているからだ。
「お前も!俺と!彼女を作るんだよ!」
「嫌だ。絶対に無理。」
「普通に彼女作るんじゃ面白くないだろ?だから競争するんだ。どっちが早く彼女作るかをね。いい案だと思うだろ?」
「ごめん、思わない。」
友広が何度断っても諦めはしなかった。断る度にどうして競争するのかを何度も説明されたが、最後まで理解することはできなかった。
結局、話し合い(というか一方的に友喜が話しただけ)は平行線をたどり部活帰りにもう一度、となった。
始業のチャイムが鳴る。生徒たちは慌てて自分の席に戻り授業の準備を始めた。
「ねぇねぇ、何揉めてたの?」
後ろの席に座っている美姫に話しかけられた。
「ん?いや別にちょっとね。」
「なーんか怪しい。もしかしてあれでしょ?女の取り合いとか。」
どうやら美姫には先ほどの会話はそのように映ったらしい。友喜が机を叩いたりするからだろう。
「違うけど。まぁ何でもいいじゃん。」
はっきり言って友広は美姫が苦手だった。話をしていると考えを読まれているように思えるのだ。実際ついこの間も「私のこと嫌いでしょ。」と面と向かって言ってきたので焦った。
それに、何よりも一番の理由はうるさいことだ。
授業中に平気で隣の生徒と話すし、大声で電話もする。
先生に何度注意されようがお構いなしだ。
最初のコメントを投稿しよう!