5人が本棚に入れています
本棚に追加
授業は退屈なものだ。
自宅で予習をやらせて学校で勉強する。その後はまた自宅で復習をして次の予習をしなければいけない。
どこかの大人は学生は勉強だけしてればいいから羨ましいと言っていたが、これだけ勉強してたら嫌になる気持ちを分かってもらいたい。
それに勉強だけじゃなくて部活もあるし、それこそ恋愛するやつだっているのだから仕事してる大人よりも忙しいかもしれないのだ。
ふと教室を見回してみた。暑さのせいで真面目に授業を受ける生徒なんていない。
懸命にうちわを扇ぐか、いっそのこと意識をとばすか、どっちかの方法で暑さから逃れている。
半数以上は後者を選び、机の上に突っ伏していた。
先生はその光景を見ても何も注意せず、淡々と授業を進めていく。
友広は色々考え事をしていた。勉強のことお金のこと部活のこと。ここまで来てさっきの話が蘇った。
「彼女かぁ。」
中学のころ好きな女の子がいた。3年間片思いを続けて卒業式のときに告白をしたが見事に振られたのだ。
情けないことだが、それがトラウマになっていて高校は勉強と部活に力を入れて彼女は作らないと決めていたのだ。
あの頃の思い出が今の友広を恥ずかしくさせた。
「じゃ、今日のこの部分テストにだすからね。」
終業のチャイムが鳴る直前に先生が言った。
これを聞いていたのは友広と数人の生徒だけだった。
最初のコメントを投稿しよう!