不在のリーダー

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ここはフェンリル極東支部、通称アナグラだ。 神機使いたちはここで暮らし、いつでもアラガミに対抗できるように備えている。 ヴァルキュリアたちは、今回のミッションの報告をオペレーターであるヒバリに済ませ、各々で行動を開始した。 とは言うものの、アリサはあのミッションの後から精神的に異常を来たしていたため、病室に検査入院していた。 さらにサクヤは特別付き合いの長いリンドウがいなくなってしまった事実に耐え切れず、部屋に篭ってしまっていた。 そんな中でリンドウの実の姉である雨宮ツバキは、自身が一番辛いのだろうが、教え子に弱い所を見せまいと気丈に振る舞っていた。 このあたりはさすが元ゴッドイーター。 幾度となく積み重ねた経験が、彼女の支えとなっていたのであろう。 「おい……。」 ヴァルキュリアは背後から不意に声をかけられた。 この冷めた口調で呼び掛けてくるのは一人しかいない。ソーマだ。 「…どうかした?」 ヴァルキュリアが答える。 ソーマから話し掛けてくるなど、滅多に無いことであるため、少したじろぎながらだったが。 当然のことながら、ソーマが聞いてきたのはリンドウの事だ。 「あいつ…どうなったと思う?」 「さぁ?まだ捜索隊からの報告もないし…なんとも言えないわね。」 ソーマの問いに、当たり前の返答で返してみせるヴァルキュリア。 リンドウが死んだとは認めたくないのだろう。 「でも…あれだけの数のアラガミだよ??さすがのリンドウさんでもあれは死ぬって…」 その話しにもう一人入ってきた。コウタだ。 「…あ?てめぇ……」 ソーマが鋭い目付きでコウタを睨む。 彼もまたリンドウとは長い付き合いなのだ。 「な…なんだよ!」 今の精神状態ではソーマがあまりにも恐ろしく思えたのか、コウタは一瞬縮こまった。 「ちょっと…二人とも落ち着きなさいよ!!リーダーのことは捜索隊に任せて、私たちは今やるべき事をするのよ。それしかないじゃない…」 ヴァルキュリアが二人を制止する。 最後の方は弱々しく、消えるように呟いた程度だが、ソーマとコウタにはしっかりと聞こえていた―。 【不在のリーダー】完
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