エピソードⅠ

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此処は魔法が使える者が優遇され権力が持てる世界。 この世界の名称をスティラ・レラ・ルタリオと言う。 ………まもなく我等の主様がお産まれになる……… 高明な予言者がそう告げた。 主様………それはこの世界で言う王で、神の様な存在。 予言者が告げたその日から産まれた赤子は親から引き離され、その赤子は異能の有無を調べられ、能力がなければ親元へ返される。 僅かでも能力があればその子は“主”候補としてそまま全寮制魔法学園に入れられる。 もし、主様でなくても主様の有能な下部として教育する為。 そして、幼い主を意のままに操ろうとと企む権力者が躍起になって探し回っている。 その為に、有無を言わさず無理矢理親子を引き離す行為が住民の混乱を引き起こし、我が子が連れて行かれない様にと産まれたばかりの赤子を隠す親がいたり、お金が貰えると喜び差し出す親がいたりと様々だった。 それは世界のあらゆる所で不安と混乱を引き起こす。 そして、とある研究施設でも我が子を連れて行かれない様にと赤子を隠している女がいた。 その女は能力封印具開発研究施設の開発研究員で、能力封印具師だった。 その女は自分が作った能力封印具を自分の産まれた赤子に施していた。 「私の雅輝…離さないわ。ずっと一緒よ………ずっと………」 その行動は我が子と離れたくないと言う思いからなのだが、その思いが強すぎて狂気と化していた。 「………雅輝、ずっと一緒よ………ずっと………」 呪文の様に我が子に言い聞かせ育てた。 見付からない様に隠して隠して……… そして、その狂気は更に増幅してそれを我が子に施していく。
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